こんにちは、PicoCELA社長の古川です。第一回に続いて、第二回も電波の話をしたいと思います。
外出先でのインターネット通信
皆さん、出張先や外出先でPCを使うことは多いと思います。PCに4G通信モジュールが搭載されていない場合、Wi-Fiを使ってインターネットに接続することになります。
PCのデスクトップ画面のWi-Fi接続マークをクリックするとたくさんのWi-Fi信号が表れますよね?今どきは、Wi-Fi信号がない場所を見つけるほうがかえって難しいかもしれません(笑)。
しかし、日本ではフリーWi-Fiにはなかなか遭遇できません。仕方がないので、手持ちのスマホやモバイルルータを使い、「テザリング」によってインターネットにつなぐことになります。
ちょっと待って!
「テザリング」のときに、Wi-Fi経由でPCとスマホ(あるいはモバイルルータ)を接続していませんか?
Wi-Fi回線を使ったテザリングでは、スマホはLTEの電波を使ってインターネットと接続し、これをWi-Fi回線を使ってPCへ中継しています。LTEの電波とWi-Fiの電波を2重に使っているのです!
なんと無駄な電波の消費でしょう!
いくらWi-Fiが無料だからといって、みんながWi-Fiテザリングを使い始めると、あっという間にWi-Fiの電波は混雑してしまいます。
とくに、たくさんの人々がWi-Fiを使うオフィスや会議場などでは深刻です。
手元にあるPCとポケットにあるスマホ、その距離わずか数10㎝・・・こんな短距離の通信のために、貴重なWi-Fiの電波が消費されてしまっているのです。
「テザリング」とは「繋ぎ縄」
テザリングはtetheringと英語で表記します。辞書で調べると、牛や馬を「繋ぎ縄」で繋ぐことを意味するそうです。この当て字を思いついた人は、スマホやモバイルルータにつながったPCをあたかも牛や馬に見立てて表現したのでしょう。
私は最初にこの言葉を聞いたとき、一瞬、テザリングを考案した人は、人間を牛や馬と同じように考えているの!?と感じて、あきれてしまいました(笑)
まあ、これは冗談として、文字通りテザリングとは「繋ぎ縄」で繋ぐことですから、テザリングを行うときは、ぜひ「ケーブル」でPCと接続するようにしましょう。
「ケーブル」とはUSBケーブル
iPhoneもアンドロイドも、おそらくモバイルルータも、大抵のテザリングでは、USBケーブルでPCと接続してもテザリングが可能なはずです。
PCとスマホの組み合わせによっては、USB経由でスマホへの給電も同時に可能です(ただし、PCのバッテリ残量にはご注意あれ)
全員がWi-Fi電波の利用に少しでも配慮すれば、きっとよりよいWi-Fi通信環境を得ることができるでしょう!
著者
PicoCELA株式会社
代表取締役社長 古川 浩
NEC、九州大学教授を経て現職。九大在職中にPicoCELAを創業。
一貫して無線通信システムの研究開発ならびに事業化に従事。工学博士。