PicoCELA株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 古川 浩、以下PicoCELA)は、この度、大規模災害発生時において、車両に搭載した衛星通信設備と自社製品を組み合わせることで、ITや通信の専門知識がなくても、わずか約15分でインターネット環境を構築できることを実証いたしました。これにより、通信キャリア各社のサービスが途絶した状況下でも、被災地から迅速かつ正確な状況報告が可能となります。

災害時の通信インフラ復旧における課題とその解決策

能登半島地震をはじめとする大規模災害では、既存の通信インフラが途絶え、早期復旧が困難な状況が続いてきました。これまでの対応策として、通信キャリア各社が非常時用の通信機器を現地に運搬する対策が取られてきましたが、機器が到着しても、専門知識を持つ技術者がいなければインターネットの開通も難しいという課題がありました。

この課題を解決するため、今回、通信知識がなくても簡単に設置でき、衛星通信とPicoCELAのソリューションを組み合わせることで、約15分でインターネット環境を確立できる「災害備蓄Wi-Fi」というソリューションを開発しました。

実証実験による有効性の確認

2025年2月、福岡県直方市との共同実証実験において、大規模災害で通信インフラが途絶した状況を想定し、「災害備蓄Wi-Fi」を用いたインターネット環境構築を実施しました。その結果、日常的にIT機器や通信機器を扱う機会の少ない市職員でも、約15分でインターネット環境を構築し、直方市が運営する「災害時情報共有システム」へ被害状況を画像で伝送することに成功しました。この実験により、「災害備蓄Wi-Fi」の簡便性と有効性が実証されました。

自治体や企業の防災備蓄品として活用と効果

「災害備蓄Wi-Fi」は、孤立が想定される地域の公的施設に備蓄することを想定し、被災地における迅速なインターネット環境の構築を可能にし、被害状況の早期共有と的確な状況把握に貢献します。

これまで、無線機による音声通話は可能であるものの、詳細な被害状況の伝達には限界がありました。「災害備蓄Wi-Fi」を活用することで、画像や動画といった視覚的な情報を迅速に伝送することが可能となり、より適切な判断と指示を支援します。

今後の展開

PicoCELAは今後、「災害備蓄Wi-Fi」が全国の自治体における防災対策の一環として広く導入されることを目指します。また、大企業の事業継続計画(BCP)における防災備蓄品としての活用も推進してまいります。地方自治体においては、地方創生2.0交付金を活用した「災害備蓄Wi-Fi」の備蓄整備が進むことも期待されます。

本ソリューションの普及により、大規模災害発生時の通信復旧が飛躍的に向上し、迅速な被害報告と人命救助の実現に貢献することを期待しております。

概念図

PicoCELA、大規模災害時のインターネット開通を通信知識がなくても簡単に 15分で構築できることを実証
機器の基本構成 (StarlinkとPCWL-0510)

機器の基本構成
(StarlinkとPCWL-0510)

車1台に搭載可

車1台に搭載可

現地で機器を組立て

現地で機器を組立て

構築マニュアルをQRで読み取り、端末にダウンロード

構築マニュアルをQRで読み取り、端末にダウンロード

現地で災害現場を撮影し、衛星経由で写真を共有<

現地で災害現場を撮影し、衛星経由で写真を共有

災害対策本部

災害対策本部

災害時情報共有システムから写真を確認<

災害時情報共有システムから写真を確認

災害対策本部から現場の状況を正確に把握可能に

災害対策本部から現場の状況を正確に把握可能に