LANケーブル敷設がほぼないことでネットワーク構築コストを大幅削減し、広域なエリアにカメラネットワークの導入を実現

700m先の離島へ無線ネットワークがつながる
導入企業: 福岡造船株式会社
導入箇所: 福岡造船事務所、野牛島・土井首・長崎工場 堤防の入り口から造船
導入理由: 事務所からのカメラによる防犯管理
導入製品: PicoCELAエンタープライズ無線メッシュWi-FiアクセスポイントPCWL-0400(室内用)*2台
PicoCELAエンタープライズ無線メッシュWi-FiアクセスポイントPCWL-0410(室外用)*10台

概要

● 離島を含む半径2kmに点在する3ヶ所の工場をネットワーク化

● 30万点以上におよぶ膨大な資材管理のソリューションとして活用

● 遠隔地に存在する工場業務の見える化、効率化も実現

LANケーブル配線の必要性がほとんどないため、コストパフォーマンス良くネットワーク敷設ができることが分かり、広域なエリアへカメラネットワークの導入が可能となりました。

お話を伺った方

福岡造船株式会社
代表取締役 田中嘉一 様
経営管理部IT管理課 主任 尾下泰彦 様

株式会社臼杵造船所
管理本部システム管理室 室長 髙倉俊治 様(経営管理部IT管理課 課長 兼務)

都心の造船所

都心の造船所

福岡造船株式会社は、福岡市の中心部という大都市部に造船工場を持つ、世界でも珍しい造船会社です。ケミカルタンカーの市場では、世界シェアトップを誇ります。

近年では、長崎や大分の造船所をM&Aするなど、さらに業容を拡大しています。
また同時に、造船所で働く作業者の労働環境向上にも力を入れており、従業員の子ども1人目が産まれると5万円、2人目だと10万円、3人目以降は何人産まれても都度100万円の手当が出るというユニークな取り組みをされています。

ITソリューションの導入に関しても、業界内では早期に取り組みを始められており、大分の臼杵造船所においては、4年前よりカメラネットワークを構築されています。
そしてこの度、離島を含む半径2km圏内に点在している長崎工場全域にカメラネットワークを敷設するにあたり、PicoCELAソリューションを導入頂きました。

今回は、その導入に至った経緯、目的等を福岡造船株式会社の田中社長、尾下主任、株式会社臼杵造船所の髙倉室長にお話を伺いました。

福岡造船株式会社の田中社長、尾下主任、株式会社臼杵造船所の髙倉室長にお話を伺いました

「歩いたら負け」

造船の世界では「歩いたら負け」という言葉があります。造船工場内の作業者は常に同じ位置にいながら作業ができる事を理想としています。しかし、1工場あたり約30万点にもおよぶ資材の中には、所在が不明になってしまうものもあるため、工場内を歩いて探し回る場面が幾度となく出てきます。これが生産性の低下に繋がってしまうことから、「歩いたら負け」ということになるのです。実際、工場敷地は広大なため、歩くだけではなくバイク、ときには自動車をも利用しての探索となることもあります。

今回のPicoCELAソリューションの長崎工場への導入は、この課題解決が目的の一つでした。一般的に資材管理のソリューションでは各部材に識別タグを設置して位置測位する方法がありますが、一工場あたり30万点にもおよぶ部材すべてをカバーするには、コストと工数が膨大となり実現は困難です。
そこで、発想を転換し、資材倉庫に出入りする作業者にRFIDタグを付与することとしました。

どの作業者がどの資材を利用するかというのは日常的にほぼ決まっているため、資材倉庫に出入りした時間と作業者を特定できれば、資材がどこに持ち出されたかをおおよそ把握することが出来ます。ただし、そのためには非常に広大な造船工場の資材倉庫全体に、ネットワークを構築する必要がありました。そこで参考としたのが、広域なエリアに最小限のケーブル配線で安定したネットワークを構築できるPicoCELAのソリューションを活用した福岡市の天神地下街の実例でした。

事例:福岡地下街開発株式会社 様

153店舗数、年間180万人の利用者数を誇る大型商業施設

福岡地下街開発株式会社 様 153店舗数を誇る大型商業施設

シームレスで利用しやすいWi-Fi環境を提供できるPicoCELA製品の導入により、天神地下街の全域無線Wi-Fi空間化を実現。 LAN配線を85% 削減、導入コストを7分の1に削減。

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離島を含む半径2km圏内をネットワーク化

離島を含む半径2km圏内をネットワーク化

カメラネットワークの導入では先行した臼杵造船所に倣って、長崎工場でも同様の取り組みを実施したいと考えましたが、臼杵造船所とはネットワーク敷設条件が大きく異なる点がありました。それは、臼杵造船所は広大とはいえ1か所に集約された敷地内でのネットワーク敷設となりますが、長崎工場は離島を含む半径2kmの中で3か所に分散していることです。そこでPicoCELAの営業担当者や販売店のシステック井上様とともに、指向性アンテナを用いて各工場を繋ぐネットワーク敷設が出来るかどうか、実証実験を実施しました。すると、アンテナの位置をコントロールすることで、離島の工場へも映像を電送できるぐらいの十分なデータ量を伴った通信が可能であることが分かりました。

そこで、本格的にPicoCELAのソリューションを活用した導入を実施しました。結果として、3工場のネットワークは安定した状況で稼働しています。最小限のケーブル配線で広域なエリアに安定したネットワーク構築を可能とするPicoCELAのソリューションだからこそ、このような特殊環境においてもカメラネットワークを構築できたといえます。

遠隔地工場を見える化

なお、今回のネットワーク構築により、従来課題となっていた「業務の見える化」も向上しました。田中社長としては、福岡・長崎・大分の全ての工場を訪問し、最新状況を逐次把握、適切な判断や業務指示をスピード感を持って行うようにしているものの、物理的には本社のある福岡に居なければならないことが多いため、他工場の状況把握が課題となっていました。今回、長崎工場もカメラネットワークが構築できたことにより、福岡本社の社長室からリアルタイムでの状況把握が出来るようになり、工程の進捗状況の把握や適時的確な業務指示が可能となりました。

遠隔地工場を見える化

導入後のご感想

PicoCELAソリューションを知る以前に、臼杵造船所と同様に光ファイバーでのネットワーク敷設を検討しましたが、数千万円単位のコストがかかることから、費用対効果を考え、断念していました。その後、PicoCELAソリューションを用いた導入検討をしたところ、ケーブル配線の必要性がほとんどないため、コストパフォーマンス良くネットワーク敷設ができることが分かり、カメラネットワークの導入が可能となりました。今回の長崎工場のように広域に点在する特殊な環境においても、安定したネットワーク環境を構築できることが実証できることが分かり、更に活用幅が拡がりました。また、離れた環境にある工場の現在の様子がリアルタイムで確認できるようになり、業務見える化ができるようになったことは、嬉しく思っています。

今後について

造船のためのITコンテンツの増加に伴い、このネットワークを活用して、作業者に認証端末を持たせて接続することを考えています。それにより更なる作業効率化を目指しています。

販売店: システック井上様

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