4.9GHz帯とは?今後の利用制限と背景の整理

現在も広く利用されているWi-Fiに加え、より快適なデータ通信を実現する 「5GHz帯無線アクセスシステム」(以下「4.9GHz帯」)という無線通信システムがあります。 弊社製品のPCWL-0510やPCWL-0410も対応し、現在も多くの分野で利用されていますが、 周波数再編に伴い将来的に使用できなくなります。
本稿では、この「4.9GHz帯」の今後と移行に注目し、現状の整理と移行先を考えてみます。

5GHz帯無線アクセスシステムについて

無線LAN(Wi-Fi)には、次の周波数が割り当てられています。いずれの帯域も他の無線システムと周波数を共用しており、有害な混信を与えないように電波法で定める技術基準のもと、運用されています。

1. 2.4GHz帯(2400~2483.5MHz、※日本専用帯域 2471~2497MHz)
ISMバンドといい無線通信以外の工業、科学、医療分野等の機器の利用のためにも割り当てられている。
2. 5GHz帯(5.2GHz帯:5150MHz~5250MHz、5.3GHz帯:5250MHz~5350MHz、5.6GHz帯:5470~5730MHz)
5.3GHz帯と5.6GHz帯を使用するには気象レーダーや航空レーダーで使われている周波数帯を回避するDFS(Dynamic Frequency Selection:動的周波数選択)機能が必要となる。屋外利用が可能なのは5.6GHz帯のみのため、屋外ではDFS規制のもとでの利用が必須となる。
3. 6GHz帯(5925MHz~6425MHz)
屋内(LPIモード)では無線出力(EIRP)が200mW、屋外(VLPモード)では25mWが上限となっている。屋外の出力が他の周波数帯よりも小さいため、特に屋外での利用が限定的になってしまうことが考えられる。

一方で、4.9GHz帯によってこれらの干渉リスクを回避することができます。下記の図のとおり、4900-5000MHzの周波数を使用しており、他システムとの干渉がないクリーンな周波数帯です。また、屋内外いずれの環境でも利用することが可能です。技術基準の詳細については総務省 電波利用ポータル(https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/system/trunk/wimax/5ghz/) (外部サイト)をご覧ください。4.9GHz帯を利用の際には総務省への登録局としての免許手続きが必要ですが、通常の他無線局に比べると簡素な手続きで開設することができます。

4.9GHz帯(4900-5000MHz)の周波数割当イメージ
出典:総務省 電波利用ポータル より抜粋 総務省 電波利用ポータル(外部サイト)(PDF)

これまで利用されてきた4.9GHz帯ですが、2024年度に総務省より携帯電話事業者に割り当てられたことに伴い、将来的に利用できなくなります。今後、この帯域は5Gはじめとするモバイル通信サービスで有効活用されることが期待されます。
ところで総務省の調査結果によると、直近の登録免許人は682人、無線局数は約13,000局と利用が多いことが分かります。実際に弊社製品のPCWLも土木建築や放送中継等の複数分野で4.9GHz帯が活用されています。

5GHz帯無線アクセスシステム移行に関する調査結果グラフ
出典:5GHz帯無線アクセスシステムの周波数移行に関するアンケート調査の結果 5GHz帯無線アクセスシステムの周波数移行調査 (外部サイト)(PDF)

4.9GHz帯の利用期限と周波数移行スケジュール

免許申請期限:新規開設の期限は まで。
周波数の使用期限は まで。

終了促進措置に伴う協議/周波数移行:使用期限であるまでに完了予定
「終了促進措置」とは、特定基地局(携帯電話基地局)の開設計画の認定を受けた携帯電話事業者等が、国が定めた周波数の使用期限より早い時期に既存の無線局の周波数移行を完了させるため、既存の無線局の利用者との合意に基づき、移行費用等を負担する等の措置です。

4.9GHz帯からの移行先とWi-Fiによる代替案

・免許期間の確認
既に4.9GHz帯の免許を取得の場合は免許期間の確認をお勧めします。現在の免許期間以降も利用するには、再免許申請が必要になります(再免許申請を行うと最長で5年延長されます)。また、免許が切れてしまっている場合は新規で取得する必要があり上記のとおり今年度が期限になります。
※再免許の申請期間は免許の有効期間までの6~3ヶ月の期間内に行う必要があります。
確認方法としては、お手持ちの免許状や、総務省 電波利用ポータルの無線局検索より確認することができます。電波利用ポータルからの検索の際は、システム名を「5GHz帯無線アクセスシステム」に指定し、申請先の総合通信局や利用エリアの都道府県を指定するとよりスムーズに検索できます。

総務省 電波利用ポータルの検索画面イメージ
出典:総務省 電波利用ポータル 無線局等情報検索 総務省 電波利用ポータル 無線局検索(外部サイト)

・移行先、移行費用の算出
今後の移行に向けて、携帯電話事業者等から既存の免許人に対して連絡を行い、移行費用の見積りや協議、そして移行実施の流れで進められていくようです。 同様の品質で使用できる移行先として、弊社からはWi-Fiをお勧めします。PicoCELA製品では独自の無線多段中継により、広域エリアカバーを実現できます。5GHz帯の一部ではDFS規制が懸念されますが、一部のPCWL製品では高速DFS機能により、レーダー波検出後に数秒で別チャンネルに移行することが可能です。また、新機種のPCWL-0501では6GHzが使用できるため、DFS規制を気にすることなく利用することができます。
弊社では今後も安定したWi-Fi中継を追究していきます。移行先でWi-Fiを検討している場合やお困りの際は弊社へもご相談ください。

4.9GHz帯の今後と移行先|周波数再編による影響と代替手段の考察 まとめ

Q1. 4.9GHz帯はいつまで使えますか?
新規開設は2026年3月末まで、使用は2036年3月末まで可能です。早期の移行準備が推奨されます。
Q2. なぜ4.9GHz帯は使えなくなるのですか?
総務省が周波数再編を進め、携帯電話事業者に再割当したため、既存用途での使用は段階的に終了します。
Q3. 現在免許を持っている場合はどうすれば?
再免許申請により最長5年延長可能です。免許状または電波利用ポータル(外部サイト)で確認しましょう。
Q4. 移行先としては何が選べますか?
Wi-Fi(5GHz/6GHz帯)への移行が推奨されます。PCWL-0501など、弊社製品で対応可能です。 弊社製品では、バックホール通信で6GHz帯対応のPCWL-0501や、高速DFS対応のPCWLシリーズが挙げられます。
Q5. 移行には費用がかかりますか?
携帯電話事業者が費用負担する「終了促進措置」があるため、補助対象となる可能性があります。

著者

PicoCELA株式会社
経営戦略室
池内 剛