お話を伺った方

株式会社富士ピー・エス
管理本部DX推進部 部長 篠原 貴 様
管理本部DX推進部 情報システムグループ兼任業務改善グループ 主任 小島 建太様

橋梁の施工や補修、建物の部材製作や耐震補強工事を行っています

篠原様)当社はプレストレストコンクリートの技術を用いて、橋梁の施工や補修、建物の部材製作や耐震補強を行っています。具体には、土木分野では道路橋、鉄道橋、海洋架橋などの橋梁の新設や、災害復旧、大規模更新などの橋梁の補修補強工事を行っています。これらの主な客先は国土交通省、地方自治体、NEXCO、JRTTなどになります。建築分野においては、建物の床に使われるプレキャストコンクリート板や、耐震補強を扱うほか、建築物のプレキャストPC部材の製作も自社工場で行っています。

また、研究開発にも力を入れており、2021年10月から「技術センターいわき研究所」を本格稼働し、近年頻発する豪雨災害に対する研究としてPC矢板を用いた河川砂防技術に関する研究開発を国土交通省から委託され実施中であります。さらに、環境分野では洋上風力発電や陸上風力発電のハイブリッドタワーなどの技術開発も推進しています。

PicoCELAを導入した環境について教えてください。

小島様)PicoCELAを導入したのはコンクリート製品を作る工場で、2020年の11月から福島県の東北工場、三重県の三重工場へ順次導入し、直近では福岡県の小竹工場への導入も予定されています。工場は全部で6工場ありますので、半分に導入されることになります。

工場はコンクリート製品を製造するために特化した環境で、大きな敷地内にはクレーン設備やトラックが走っているような状況です。敷地の一部に事務所も設置されており、職員はそこで製造計画や品質管理等を行っています。

PicoCELA設置前までは事務所内でのみネットワークの利用が可能となっており、事務所内のPCから社内環境に入れるようルーティングしていました。事務所外に出るときには各自に貸与されたスマートフォンを利用していますが、電話やSMS、LINE等ツールの利用にとどまり、製造に必要なデータや図面などは紙で持ち出し、記録などデータ入力が必要な場合は都度事務所に戻る必要がありました。

ネットワーク環境を見直すことになったきっかけを教えてください。

小島様)コロナ禍になり、仮に工場で感染が発生・拡大してしまうと事業継続に大きな打撃を受けるという懸念から、感染を防ぐ必要があるという社の考えがあったことがきっかけです。

まず、東北工場をターゲットとし、工場で業務を行う職員が共通して使用しているものや触るものなど、感染を広げるリスクがありそうなものをすべて洗い出し、見つかったものをなるべく自動化や機械化をしようと試みることになりました。

それらの中には、現場で使われる図面などの紙や、それを保管するバインダーも入っていたため、それらを各自が持つタブレット上からアプリを使って確認できるようにしようということになり、事務所の外のネットワークインフラ環境の整備が必須となりました。

ネットワーク環境の整備にあたっての必須条件と、PicoCELAにした決め手を教えてください。

小島様)屋外でコンクリート製品を製造するため粉塵の量がかなり多く、また、風雨にさらされる状況になりますので、そうした環境でも耐えられるものというのは大前提として挙げていました。

また、各工場の敷地が広く安全面などを配慮した結果、LANケーブルの配線はなるべく必要としないものにしたいと考えていたため、メッシュ型がいいなと選定しておりました。

とはいえ、メッシュ型の製品はあまり多くなかったため、製品の選定に苦慮していました。

そんな中、福岡県の天神地下街にPicoCELAのメッシュWi-Fiが使用されていることを知り、環境は違えど多くのユーザーが移動し広範囲をカバーしている実績があることが品質を担保できるのではないかという判断となり、PicoCELAの製品を選びました。

導入作業はスムーズに進みましたでしょうか?

小島様)アンテナを情報システム部に送ってもらった後、設定手順の動画を見ながら設定をしましたが、スムーズにできたという印象です。

また、工場での電気配線工事の必要はありましたが、工場の特性上、機材用の電源設備が各所にあったため、時間が掛かりはしましたが、大きなトラブルも発生しませんでした。

工場のどこにいてももれなく使用できるネットワーク環境を実現できました。

PicoCELA導入後、現場での変化はありましたか?

小島様)もともと紙を無くすという目的で始めたものでしたが、工場のほうから「こういった使い方をしたい」といった声が多くあがり、生産性向上のための取り組みとしての利用もされています。

特によく使われているのが、ZoomやSkype、TEAMSなどを介した検査です。

通常、製品製造の過程で、どの施主様も何度か工場に出向いて立会検査を行いますが、このコロナ禍で移動の制限がされるようになり、検査の実施をリモートで行う要望が増えてきました。

工場内のインフラを整備したことで、要望に応えることができる環境となり、国交省が推し進める遠隔臨場へ対応できるようになったことはよかったと思います。

こうしたやり取り以外にも、「もっと有効的に使用する方法はないか?」「タブレットのアプリを活用できないか?」といった声が工場から多数あがっており、会社としても生産性の向上や効率化を目指していた中でのことだったので、予想外のいい効果が生まれたと感じています。

PicoManager®の活用

小島様)ネットワーク環境を整えたことで思わぬ副産物もありましたが、まだあと残り3工場が未導入の状態です。

また、PicoManager®で出来る分析など、関連する情報を提供して頂ければ、より便利な使い方を工場の利用者に案内することができるので、お願いしたいですね。

PicoManager®

管理を超える付加価値を追求したクラウド管理ツール PicoCELAの無線バックホールテクノロジーが搭載された種々の機器(PicoCELAデバイス)と連携するクラウド管理システムPicoManager®。PicoManager®によって、さまざまなPicoCELAデバイスを維持管理できます。しかし、PicoManager®の本領は維持管理にとどまらない高い付加価値サービスの提供にあります。