概要
日本では、1990年に発生した雲仙普賢岳噴火に伴う火砕流、土石流災害を始め、近年、大規模地震、台風、豪雨と災害の甚大化が顕著となっており、その都度危険を伴う救助、復旧作業で関係者の御苦労、犠牲を強いてきている。
災害救助、復旧を効率的、且つ二次災害を防ぐための有効手段として、無人化施工に関する研究、実用化に向けた取組が各所で進められてきた。
伊藤忠TC建機は、建設業界の人手不足、作業の安全性・生産性の向上等をめざし、遠隔建機操作技術の開発を、東大発Start Up企業であるARAV社、建機オペレーター養成の千葉房総技能センターをパートナーとして取組開始。
インターネット環境が整わない工事現場、災害現場を想定し、ローカルネットワーキング構築技術パートナーとしてPicoCELA社との連携を開始
ARAV社の遠隔技術は、4G/LTEをインフラとして、建機本体の車載カメラ映像を、遠隔地に設置したモニターで受信、遠隔オペレーターが操作信号を送信する事で、建機を稼働させるものであるが、インターネット環境が整わない工事現場、災害現場を想定し、ローカルネットワーキング構築技術パートナーを必要としていた。
その中で、加賀電子を通じてPicoCELA社との連携を開始。
千葉房総技能センターの訓練施設で実証実験を行ってきた。
更に、千葉の消防レスキュー有志及び災害救助犬NPOと、実践的な救助訓練を平常時から行う事で、より効果的な災害オペレーションにする試みが、千葉房総技能センターの訓練施設において実施されてきており、遠隔操作技術を災害対応にも応用すべく開発に着手した。
日頃の訓練及び各種機械のオペレーションデモ会が開催
先の8月26-27日に、消防、国交省、千葉県、市、町各議会関係者、民間建設会社、メーカー等を招き、日頃の訓練及び各種機械のオペレーションデモ会が開催された。
この際、ローカルネットワーキング構築デバイスとして、PicoCELAのWi-fi製品が採用された。
建機の天井部分に送信アンテナを設置。訓練所内で、最大70メートル程度の距離で、モニターを見ながらコントローラーを操作することで、ショベル、キャリアダンプの2種類の建機を稼動させ、障害物の除去、要救助者の搬出作業等を行った。
多少課題は散見されるものの、実用化に向けて良好な結果が得られ、関係者からは高い評価を得ることができた。
画像提供:伊藤忠TC建機
今後について
- 遠隔距離延伸
- 画像の鮮明性確保
- 画像データ量、速度確保
- ローカルネットワークと光ファイバーによるインターネット環境の組合せによる超遠隔操作
を課題として、近い将来の実用化に向けた実証実験を継続する予定。